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アメリカ時代の報道写真 Vol.1 wataru君とその家族のストーリー



bozphoto & stylesのメインフォトグラファー、Tsutomu の前職がアメリカでの報道カメラマンだったってご存じでしょうか?


もう15年も前の話になるので、その事をご存じの方も随分減ってきました。

元々写真を始めたきっかけもは、ユージンスミスなどののドキュメンタリーフォトに憧れたからでした。


(ユージンスミスの伝記映画がジョニーデップ主演で来年くらいに公開されるみたいなので、是非チェック!)


アメリカ時代にはどんな写真を撮っていたか聞かれる事がしばしばあります。

そこで、シリーズで Tsutomu が昔手がけていた報道写真の事について、

米国留学についても交えて、シリーズで綴っていこうかと思います。


(メインは今まで通りウェディングブログ、時々報道写真も、って感じで)




第一弾は Tsutomu が San Jose State University, シリコンバレーにある大学に通っていた頃手がけた、自閉症のお子さんをお持ちの家族のドキュメンタリーフォトについてご紹介します。




この写真を発表した際のタイトルと紹介文は以下のような感じでした。


World Apart

A Japanese autistic boy


久保由美さんは自閉症の長男、Wataru君(7つ)を育てる母親。1989年、会社員の夫の勤務先である米国・シリコンバレーに移り住み、その間に二人の子供達が誕生しました。近所の人が Wataru君に付けたニックネームは「シリアスガイ」。いくらあやしてもニコリともしなかったからだ。彼が二歳の時に受けた診療の結果、自閉症であることが判明しました。


1999年、夫は仕事の関係で日本に帰国することになりましたが、由美さんは子供達と共に、自閉症に対するきめ細かいサポートを受ける事が出来る米国に残る事にしました。


突然姿を消したり、家を荒らし回ったり、渡君を育てるのは大変な事も多いですが、「Wataru君のおかげで普段は体験出来ないような、予想外の出来事に出会うことが出来る」と子供達との毎日を楽しんで過ごしています。





15年前、日本に帰国したばかりの時に、英語を日本語に直して書いた文章なので、ちょっと違和感がありますよね(汗)

まあそれは良いとして、まずは写真をご覧頂きましょう。






一枚目の写真は 久保さんの家で他の自閉症の子供達も招待してのパーティーを開催した時の様子。パーティーといっても、みんなそれぞれ、好きな世界に入り込んで遊んでいます。




自宅のテレビでお気に入りのアニメ「機関車トーマス」を見る Wataru君。彼は目の前にある物だけに意識を集中させるため、いつも画面数センチにまで顔を近づけてテレビを見ている。





床屋へ連れて行こうとする由美さんに対して玄関で抵抗する Wataru 君。彼は髪の長さ、部屋のテーブルの位置、履いている靴の種類など、自分の周りの環境が少しでも変化することに対して大きなストレスを感じてしまう。





カウンセラーの ニコールさんとの勉強は Wataru君にとって一番嫌いな時間。しかし、四ヶ月間セッションを続ける事により、彼も段々と言葉を覚えてきて、相手の質問にも答える事が出来るようになりました。





自宅からこっそりと抜け出した Wataru君を20分先の場所で見つけて叱りつける由美さん。





7歳の誕生日の頃から Wataru君は週に数回、日本語の勉強を始めました。彼が日本語に興味を持つようになったのは、周囲のアメリカ人が理解出来ない言葉を話す事によって、自分の世界に入り込む事が出来るからかも、と由美さんは分析しています。





自宅の庭で姉の Kahoちゃんとじゃれ合う Wataru君。お姉さんは彼が心を許す事が出来る数少ない友人の一人。うれしい気分の時には tickle me(こちょこちょして)と頼んできます。




誕生日のロウソクを消し方を教えようと、 Wataru君の頭に息を吹きかける由美さん。Wataru君は5歳まで自分や家族の誕生日に無関心でした。6歳になってから、誕生日のお祝いをしてくれるようになり、少しずつ成長を感じる事ができるようになりました。




こちらがこのシリーズが完成した時にまとめた写真です。

元々はクラスの課題として始めましたが、もう少し深く掘り下げたくて撮影を続け、結局半年間にわたってこちらの家族を追いかけさせて頂きました。

撮影した写真は3000枚くらい。

フィルム時代というのを考えると膨大な数ですよね。


このプロジェクトを始めた時の教師がちょうど地元の新聞社、San Jose Mercury News のフォトグラファーだったので、そこの写真部長を紹介していて頂いて売り込んだら、ライターまで付けて紙面で取り上げて頂ける事になりました。しかも、日曜日版のトップで!



ちょうどその時、シリコンバレーで自閉症と検診される子供の数がかなり増えてきていた事もあり、タイムリーな記事として特集を組んでくれたとのことでした。



日本に私が帰国した後もこちらのご家族とはお付き合いがあります。

その後、ご家族の皆さんそれぞれが Bigになって驚いていますが。


Wataru君は数学がとても得意となり、日本人大リーガーも利用する会計事務所でアルバイトなども手がけているそう。


姉の Kahoちゃんは昔から得意だった絵の技術を生かして、米国の大手アニメ・プロダクションに勤めています。


そして母親の由美さんはなんと起業して、Voice4U という、自閉症や会話に問題がある人達にとって手助けとなるアプリを開発、そしてその他にも自閉症などサポートを行う団体の運営も手がけています。


Voic4u についてはこちらのページから。



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