
緑が深さを増し、生命力溢れる6月の明治神宮。先日、私はここで素晴らしい結婚式を撮影させていただきました。新郎新婦の晴れやかな笑顔、厳かで美しい儀式の数々、そして参道の木漏れ日が作り出す幻想的な光景。それはまさに、日本の伝統美が凝縮された、息をのむほどに美しい時間でした。
しかし、その美しさの裏側には、カメラマンとして乗り越えるべき数々の挑戦もありました。広大な敷地、天候の変化、そして多くの参拝者の方々。この記事では、私が6月の明治神宮で感じた、感動と挑戦の舞台裏を、カメラマンの視点からお伝えしたいと思います。これから明治神宮で結婚式を挙げられる方、和婚に興味がある方の参考になれば幸いです。
撮影を担当させて頂いたのは、ちょっぴり照れ屋な新郎さんと、
頼りがいのある、おちゃめな新婦さん。
家族でのゆったりとした結婚式でした。
ウェディングフォトはいつも、指輪写真からスタート

bozphoto & styles で結婚式の撮影をさせていただく際、一番最初にカメラに収めるのは、必ずといって良いほど指輪の写真になります。
お二人が何ヶ月もかけて選ばれた大切な、そして想い出もつまった結婚指輪。 折角なので結婚式場の雰囲気が伝わる背景で残してあげようとスタートしたのが15年前。
この指輪写真を気に入って頂いて私達に撮影のご依頼を決められた新郎新婦さんも、実は多数いらっしゃいます。
明治神宮での結婚式撮影の場合、この第一段階からちょっとしたチャレンジとなります。
明治神宮ではお支度シーンの写真を残す事が出来ません
明治神宮ではそもそも、会場のカメラマンであろうと、親であろうと、お支度場所に入る事が許されていません。 以前、婚礼担当の方にその理由を尋ねたところ、
「明治神宮は、神を祀る神聖な場所であり、儀式を厳粛に行うことが重視されています。支度部屋は、花嫁が儀式に向けて心を落ち着かせるための場所でもあり、プライベートな空間として尊重されています。」
とのお答えをいただきました。
その他にも、結婚式が一日に一五件以上行われる事もあるので、何らかの外部からのトラブル要因をさけて、多数の結婚式を円滑に進めていく、という理由もあるようです。
指輪は新郎様に事前に預かる
そこで、もし指輪の写真をご希望の場合、新郎様がお支度に入る五分前くらいにお会いして、指輪を袋ごとお預かりするようにしています。
撮影時間は移動時間も含めて10分以内。
良い写真が出来上がり次第、ちょうど着付けが終わった新郎様か、早めに控え室に到着された新郎新婦のご両親にお渡しするようにしています。

指輪の撮影が終わったら、新婦さんのお支度が完了する前しばらく、境内の風景を沢山撮影しておきます。
6月といえば梅雨の季節。 この日は運良く青空に恵まれましたが、前日の雨が少し残っていたからか、しっとり感も少しありました。 そんなみずみずしい雰囲気も見つけたら、なるべく写真に撮るようにはしています。 どんな日に結婚式が行われたか、10年後に見返すと良い想い出だったりします。

新郎新婦さんと当日お会い出来るのはお支度が終わった時。
これから外に出て記念写真タイムが始まるのですが、まだ少し緊張している様子が二人から伝わってきます。

向かったのはお札やお守りなどを販売している建物の裏。 お支度後、まずはこちらにて会場カメラマンによる型物撮影という、かちっと着物の裾を綺麗に整えた写真を撮って頂きます。
お支度後の新郎新婦の撮影タイム

さて、ここからが本格的に私のほうがお二人の撮影を担当させていただく時間となります。
ただ、時間は限られています。
最初にも書きましたが、明治神宮ではかなり多くの結婚式が行われます。 正確な数字は公表されていませんが、クチコミサイトなどを見ると、明治神宮では「数十分おきに挙式が行われている」「一日を通して多くの結婚式が行われている」といった声が見られます。
それだけ結婚式が行われているので、おのずと新郎新婦での撮影タイムはかなり短く設定されています。
私の経験ですと、大体五分くらいでしょうか。
五分!
短いですよね。
私もそう思います。
明治神宮の美しい緑や広々とした広場、回廊などに憧れたのに、そんなスポットで写真を残す事もままらないなんて、とても残念....
親族紹介はお二人抜きで
そこで一つご提案が。
親族紹介はご親族だけで行うようにお伝えください。 本来、 主役がいてこその親族紹介ですよね。
でも、親族紹介と、明治神宮でもう少し写真を残せるチャンスを天秤にかけてください。 それによって、ご両親とお話しておきましょう。
こちらの時間を節約するだけで、お二人での撮影タイムは10分くらいに増えます。 それほど長くはないですが、それでも写真に残せる場面は倍に増えます♪
どこで写真が撮れるの?

結婚式が始まる前。
どこで二人の写真を残せるのでしょう?
人気のスポットはやはり、後から参進も行う中央の広場。
あとは、回廊を背景にしたり、本殿の建物を背景に、そして大きな菊のご紋が彫ってある門を背景にした場所はご希望が多いです。
Bozphoto & styles でも事前のご希望は伺っています。ただし、実現するかどうかは、分かりません。
明治神宮で30回以上は結婚式の撮影経験がありますが、毎回許可を頂ける場所は変わります。 当日の他のスケジュールとの兼ね合いだったり、時には観光客がどのくらい集まっているか、によっても変わる事も。
この日はたまたま、舞殿前のエリアを練り歩いての写真を撮らせて頂きました。

週末になると観光客も沢山いて、花嫁さんをみかけたら追いかけてくる方もいるのですが、
この日は比較的空いていました。 親族控え室に戻るまえ、個人的には好きなこの静かなエリアでも写真が撮れてちょっとラッキーです♪

貴重なお二人での撮影タイムが終わると、神楽殿の地下におり、ご親族との対面となります。

結婚式が始まるまでの間、少しだけ家族の皆さんと記念写真を撮ったり、挙式中に新郎様が読んでいただく誓詞、誓いの言葉に署名をしていただいたりの儀式があります。
その後、挙式中での撮影についての説明があります。
神殿内で撮影が出来るのは新郎側、新婦側でそれぞれ一人ずつ

さて、ここからは結婚式がスタート。
本殿内は動き回る事が出来ないという制限がある物の、写真をある程度撮る事は出来ます。
ただし、新郎側と新婦側、それぞれ代表で1名様だけが撮影を許可されています。
お二人との事前打ち合わせでは、この挙式中にどちらのポジションを取らせて頂くか、お尋ねしています。
後程挙式シーンの写真でもご紹介しますが、それぞれのポジションでメリット、デメリットがあるので、ご希望されるアングルのほうを私が取得させていただき、もう一つのポジションをご親族のどなたかが利用して頂く流れとなります。
例えば、新婦側から私が撮影する事になった場合は、新郎側のご親族のどなたか一人だけ、反対側のポジションから撮影出来る形となります。
参進シーンは一切写真を撮る事が出来ません

さて、結婚式が始まりました。
明治神宮の神殿内での撮影は、「参列者」という形で特別に許可をいただきます。
その代わり、参進シーンでは一切撮影をすることが許されていません。 参進が始まってから神殿に入るまでは、カメラを置いて厳かに、参進の列に参加する必用があります。
でも、参進シーンに憧れて明治神宮での結婚式を決めた花嫁さんも多いハズ。
もし私達に撮影のご依頼を頂いて、なおかつ参進の写真もご希望の場合は、いずれかのオプションを取って頂く必用があります。
① 明治神宮に挙式だけの撮影プランを依頼する
② bozphoto & styles に挙式の間だけセカンドカメラマンを依頼する
私達の結婚式撮影のプランに、結婚式をカメラマン二人で撮影するオプションがあります。 一人だけでは残せないような、例えば新郎新婦を撮影している間に、別のアングルからご親戚の様子なども写真に収める、というちょっと贅沢なプランです。
こちらを一日フルではなく、半日の挙式だけ依頼して頂くオプションもあります。 その場合、メインカメラマンが参進の列に入ってる間、参進の列を写真に収めます
③ 友人が参進中の写真を撮る
1と2と比べてお安く済むオプションです。 ただ、スマホ撮影だとあまり仕上りは期待しないほうが良いでしょう。 アルバムにするには心許ないかもです。
もしご友人にちょっとでも、カメラのスキルを期待出来る場合のみ、選んでみてください。
明治神宮での結婚式中の撮影について

さて、神殿内に到着して、結婚式が始まりました。
明治神宮での結婚式では撮影について、いくつかのルールが設定されています。
① 新郎新婦側それぞれ一名ずつ、固定位置からの撮影のみ。 動き回る事は不可
② 撮影出来るのは指定のシーンのみ。 基本的には祝詞という、神主さんが神様に対しての言葉を伝え終わった後から。
参進が始まる前、親族控え室にて担当者さんからも詳しい説明と、どの場面で撮影が可能なのかを記載された用紙もいただきます。この辺はとても親切ですね。
新婦側と新郎側、どちらから撮影するべきか?
さて、ここでクエスチョンになるのが、どちら側からメインで撮影するかです。
何度も明治神宮での結婚式撮影の経験はありますが、8割は新婦側から撮影をしています。
理由は...
新婦側からのほうが新婦様が綺麗に写せるからです!
新郎側からの撮影になると、新婦の体は半分、新郎に隠れてしまいます。上の写真の逆になると考えて頂ければ良く分かると思います。
では、なぜ100%新婦側からの撮影での依頼ではないかというと、少しだけ新郎側から撮影するメリットがあるからです。それは...
1. 新婦側の親族の表情が撮影出来る
2. 新郎さんが誓詞を読んでいる姿を少し近くから撮れる
3.新郎新婦が向き合う事がある際、新婦さんの表情が撮れる
という感じで。
新郎側から撮影して欲しいリクエストの9割は、1の事が理由となっています。
神殿内では新郎側、新婦側と2列に並んで着席するのですが、新婦側に着席した場合、ご両親はカメラマン席の前列に座る事になり、頭しか写真に残せないのです。
この理由も踏まえた上で、どちらのポジションからの撮影を依頼されるか、検討してみてくださいね。

結婚式はその後も粛々と進んでいきます。
そうそう、神社で行われる神前結婚式にはキチンとした作法があるというのをご存じでしょうか?
例えば、三三九度でも気にせずに注がれたお酒を飲むのと、正しい形で手を動かすのは全然違い、そしてずっと残る写真にも結果が変わってきます。
三三九度の作法などについては、明治神宮さんでも全然説明はしてくれません。
Bozphoto & styles ではご希望があれば、アトリエにお越し頂いた際、詳しく説明させていただきます。


無事に結婚式も終えて、参進をして神楽殿のほうにい戻っていきます。
さて、ここからは少し、明治神宮でのカメラマンの持ち込みについて説明をさせていただきます。
明治神宮で外部のカメラマンとして入って欲しい

明治神宮で結婚式をされる新郎新婦様からは毎年のように、持ち込みカメラマンとして入っていただけないか、お申し込みは頂いております。
とても嬉しいお話なのですが、明治神宮では外部まめラマンの持ち込みは禁止となっています。 ただし、特別に入らせて頂いているケースも過去に何度もありましたので、一度プランナーさんに確認みてください、とはお伝えしております。
カメラマンとして入らせて頂ける条件について

OKを頂ける場合と、いくら交渉してもダメだというケースと、毎回違ってきます。 お二人を担当されるプランナーさんによって頂けるお返事が違う気もします。
今回の場合は、
・会場提携のカメラマンに挙式中の撮影は依頼する
・当日は提携カメラマンがメインで撮影するので、その邪魔にならないようにする
・撮影禁止の場所があるのでそこには立ち入らない
・神殿内では参列者として入っていただく
というのが条件でした。
そして、披露宴中の撮影も「参列者」として入って頂くため、披露宴のテーブルにカメラマン用の一席も設けていただくのもありました。
逆に、結婚式の最中は撮影出来ないので、参進の際は外から新郎新婦さんを「見守っていてください」という条件を設けられた事もありました。
カメラマンを外部に依頼する理由をハッキリとさせる

明治神宮では多い時は一日に20件以上の結婚式が行われる場所。その分、沢山のカメラマンさんもいます。 その中には10年以上の経験があるベテランのカメラマンさんも多数います。
ですので、仕上がる写真の質については、全然問題ないと思います。
ただ、写真の好みは皆さん違います。
明治神宮提携のカメラマンさんは会場の経験が多数ある分、正統派なきっちりとした写真を残す事に長けています。 ただ、カメラマンの指名は出来ませんし、事前に自分達の好みを伝えて、それが撮影に反映される事も希なようです。
沢山の結婚式が行われる会場ならではのジレンマだったりします。
Bozphoto & styles に撮影のご依頼を頂くお客様は、写真の仕上りはモチロンですが、どちらかというと
・顔の知ったカメラマンに当日担当してもらうことで安心感がある
・抑える所は抑えつつ、意外性のある写真も残して欲しい
そんな理由でご依頼をされることが多いです。
まずはプランナーさんにご相談を

会場カメラマンを多数取りそろえているのに、外部カメラマンを入れるということは、当日の流れを乱されてしまうという会場側にはあるかもしれません。
ご依頼された新郎新婦やご親族だけでしたら良いですが、当日開催されている他の結婚式・披露宴に影響してしまう可能性も。
その辺については、プランナーさんに依頼予定のカメラマンについて、詳しくご説明をしていただき、そして会場カメラマンではなぜ、自分の希望が満たせないか、説明をして頂く必用があります。
私のほうからどのようなお話が出来るかアドバイスも出来ますが、出来るだけ新郎新婦お二人の言葉でお伝え頂くほうが、ちゃんとした説得力もあります。
交渉は大変だとは思いますが、
結婚式というたった一度だけのイベント。沢山のこだわりも詰まっているはす。
諦めずに相談してみてくださいね。
明治記念館での披露宴

さて、ここからは話を戻して、明治記念館での披露宴の写真をさらっと紹介していきます。
(ちょっとブログが長い記事になってきたので、ここからは手短に...)
挙式も無事に終わって明治記念館へ移動。
移動の際は明治神宮だけのオリジナル、
ロンドンタクシーの花嫁バージョンに乗る事が出来ます。
たった10分くらいですが、ちょっとした特別体験♪
ご希望があれば、カメラマンも助手席に同乗して、
車内でくつろいでいる様子も写真に残す事が出来ます。

明治記念館に到着すると、まず案内されるのは、メインの入り口から左手のほうにある、「旧玄関」と呼ばれる場所。
ここは記念館が「憲法記念館」として使用されていた時代に使用されていました。
明治記念館の旧玄関で撮影

現在の自動ドアがある入り口は、戦後に明治神宮の総合結婚式場として開館した際、新しく立てられた建物の部分。 旧玄関のほうは100年前の歴史を色濃く感じさせてくれます♪


旧玄関での撮影撮影を終えると、広々とした芝生の庭園での撮影タイムです。
まずは二人だけでの写真を撮りつつ...

ご親族と一緒での記念写真タイムとなります。 お庭で写真を撮れるのは実質、この時のみ。 貴重な時間を楽しみましょう。


明治記念館には大小10個以上の披露宴会場が用意されています。 人数によって使用出来る会場が変わってきますが、最近ご依頼を頂くのは、小規模の10名以下での披露宴も増えてきました。
小さなご家族での披露宴ですが、その分皆さんとの距離も短く、和気あいあいとした雰囲気となります♪

少人数制の披露宴の醍醐味はなんといっても、参列者皆さんの表情を一人一人、きっちりと抑えることが出来ることですね。
写真が仕上がった際、沢山プリントしてご親戚皆さんに配られていました。


披露宴の中盤でお色直しタイム。
サプライズで退場のエスコート役を指名されたお母様は、感動でちょっと涙されていました。

新郎新婦抜きでも披露宴はそのまま、盛り上がっております。

そして美しい朱色の振り袖にチェンジされた新婦様。
チャペルでの結婚式のように、今回はお父様がエスコートして一緒に入場となります。







盛り上がっていた披露宴も最後のほう。
そういえば披露宴の締めの挨拶といえば新郎様がお話するのが定番でしたが、最近は新郎新婦、それぞれがご挨拶されることも増えました。
その代わり、昔定番だった花嫁からご両親へのお手紙というのは、読まれることも減ってきました。
結婚式も流れというのも、年々と変化を遂げています。


明治記念館で披露宴後の撮影

もし明治記念館でも沢山写真を残されたいのであれば、平日の披露宴がオススメ。
週末は一日芝生のお庭も混み合っていますが、平日であれば挙式の件数も少ないので少し余裕があり、披露宴後も撮影タイムを頂ける事もあります。
ご家族のお仕事などの兼ね合いもあると思いますが、
もし可能であれば検討してみてください。
ではでは、お二人とも、いつまでもお幸せに!




ドキュメンタリースタイルの結婚式撮影
bozphoto & styles は16年以上のウェディングフォト撮影の経験を持ち、様々なカップルの特別な瞬間をとらえてきました。 写真の基本はアメリカでの報道カメラマンの経験から培ってきた、ドキュメンタリースタイル。 無理にポーズではなく、お二人にとって心地良い空間を造りあげての写真撮影を心が得ています。

bozphoto & styles はカメラマンの Tsutomu と、ヘアメイク/着付け師/etc を手がける妻のmakky、そしてシュナウザーの三人で運営している小さな写真事務所です。 吉祥寺を拠点に全国各地へ家族写真や結婚式の出張撮影を手がけています。
写真の基礎はアメリカ時代に培ってきた報道写真から。ドキュメンタリーな写真を得意としています。
詳しくはプロフィールページもチェックしてくださいね。
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