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家族の「ライフタイム・フォトグラファー」を目指して

 

bozphoto&styles 藤田努

 

 個性化・多様化という時代の趨勢で、ウェディングフォトグラファーの世界も、独自の表現方法で、オリジナルのブランドを築き上げるスタイルが定着してきました。そうしたなかで、とくにドキュメンタリースタイルに拘りを持って、独自の世界観を作り上げてきたのが、bozphoto&stylesの藤田努氏です。

 「フォトグラファーとしてただ単に結婚式の写真を残すのではなく、新郎新婦をはじめ、そこに関わる人たちのストーリーを伝えていく」を使命とする藤田氏は、結婚式の「空気、思い、香りがそのまま蘇る」そんな写真を残すことを目指していて、単に良い写真作りだけでなく、ユーザーのエモーショナルな部分を形にするというスタイルなのです。

 また、「結婚式はゴールではなく、2人の新しい人生の始まり」という考えのもと、ウエディングフォト契機に、その家族の成長をずっと一緒においかけていくという「ライフタイム・フォトグラファー」としての存在感を示しています。従ってウエディングフォトをきっかけに、ニューボーン、七五三、家族写真の撮影も手掛け、とくにニューボーンフォトに関しては、早くから着手し、草分け的な存在として知られ、その知名度も高いものがあります。現に売り上げ面をみても、ウェディングフォトとニューボーンフォトの比率は50%づつになっています。

 

ウェディングフォトに大きな魅力を感じて

 

 さて、藤田氏のこれまでの経歴を追ってみると、19歳の時に単身アメリカに留学。シアトルの短大に在籍していたときに友人の薦めで写真と出会い、大学内でいくつかの写真クラスで勉強を続けているうちに、ドキュメンタリーフォトに惚れ込んだといいます。そして本格的に報道写真を学ぶためにカリフォルニアのシリコンバレーにある4年制の大学に編入しています。卒業後、ワインで有名なナパバレーにある新聞社に入社、主にスポーツ写真や地元イベントを撮影するなどの仕事をこなしていました。

 2005年に帰国し、翌年には故郷の福岡から東京に移り、ブライダル関連の会社の契約カメラマンとしてウェディングフォトグラファーとなりました。当時を振り返り「会社組織なので、撮影手法もルーティーンがあり、一度もあったことのない2人に対して一気に場を盛り上げて撮影するというスタイルには馴染めませんでした。私自身、ドキュメンタリーを目指していたので、当日に初めて出会って撮影するのではなく、事前に2人に会ってそれぞれのご家族の話を聞いたりで、その情報を自分なりに解釈して撮影に臨みたいと思いました」と藤田氏。そして契約カメラマンという形をやめて独立してウェディング専門の写真事務所を設立しています。

 それと同時にウェディングフォトの研究を始め、何人か素晴らしい写真を撮る方々に話を聞きに行って、そのコンセプトを取り入れるなどで、この世界にのめり込んでいきました。当初はアメリカに戻って再度、報道写真を目指すことを考えていたそうですが、ウェディングフォトに大きな魅力を感じたことでそれに集中できる環を整えました。

 そして6年前には屋号をbozphoto&styesとし、スタイリストの奥様と女性カメラマンの3人での体制となり、現在に至っています。

 

夫婦が共感し、そして感動、心に残る写真作り

 

 ウェディングフォトの受注は全て事務所で直に予約を受ける形式です。依頼があって、2人から様々な話を聞いて撮影イメージを膨らませます。希望があればエンゲージメントフォトを私服で撮影して、当日の撮影を迎えるという流れです。

 ここで特筆する点は、2人の話やご家族のことなどをしっかり聞くことにあります。コミュニケーションをとることで信頼関係ができ、話を聞くことで2人のこれまでのこと、家族関係がわかり、当日のストーリーに味付けしていくことになります。bozphoto&stylesに予約したということは、その作風が気に入って頂いているわけですので、あとは撮影側がどう構成しどう表現していくかになります。この点ではカメラマン側が主導的な立場になって進めていくわけです。

 ですから、たとえばユーザーがイメージリストのようなものを提示して「こんな風に撮ってください」と言われても、自分のイメージから逸脱したものである場合、お断りするケースもあるといいます。「結婚式の写真は自分のフィルターを通して形にするもので、お客様が持って来た写真は他のカメラマンのフィルターで撮影したものですから、極端な話『そのカメラマンにお願いしたほうが良い』と思ってしまうこともあります」と語ります。

 全てが全て、ユーザーの要望に迎合するわけではなく、撮影側の明確なコンセプトのもと、自分でイメージした写真を作りたい、というのが根本にあります。それに2人が共感し、そして感動していただく、心に残る写真を提供していくことを常に念頭に置いています。

 こうしていくことで2人とのパイプはより太いものになり、藤田氏が目指す「家族としての長いお付き合い」が始まっていきます。

 

ニューボーンフォトのパイオニア的存在として

 

この「家族とのお付き合い」の第一歩がニューボーンフォトになります。もともとアメリカに住んでいたこともあって、英語ができることから、国際結婚のユーザーから「アメリカでこうした写真があるからやってほしい」と言われたのがきっかけになっています。アメリカの場合、生まれてすぐにスタジオに連れてきてニューボーンフォトを撮りにくるそうですが、ここ日本では生後1ヶ月は家にいるという暗黙の習慣があり、したがって撮影はご自宅に出張しての撮影となります。この形は、いまでこそあちこちで聞かれるようになりましたが、藤田氏がはじめたのは5年前になるので、いわばパイオニア的存在となっています。フォトグラファー向けのセミナーでもこのニューボーンをテーマに講師として招かれることも多く、第一人者として知名度も高いものがあります。

 「始めた当初は、どう撮って良いのかわかりませんでした。布の巻き方でも赤ちゃんが不快にならないような特別な巻き方があるので、そうした諸々のテクニックを、海外のフォトグラファーが集まるコンベンションに出向いて勉強していきました」撮影は、専用の布やバック紙(壁紙など)予備としてストロボを用意してご自宅に伺い、スタジオのようにセッティングし、ライトは窓からの自然光を利用して赤ちゃんらしい可愛らしさを表現していきます。

 いままではインスタグラムを利用し告知、その注目度も高く、撮影件数は増加の一途を辿っています。ウェディングのように季節変動がないため、安定的に需要があるそうです。当初はウェディングからの流れでニューボーンの撮影をするという形が主流でしたが、現在ではニューボーンから撮影するというご家族が7割を占めるまでになり、ウェディングよりもニューボーンの方が知名度が高くなっているといいます。結婚からはじまり、そしてその家族の成長を追い続ける藤田氏。目標とする家族の「ライフタイム・フォトグラファー」に一歩一歩近づいています。

株式会社プロメディア発行 PHOTO NEXT2018ガイドブックに掲載

Wedding Photo Gallery

​結婚式・披露宴撮影の作品例

今まで12年に渡って撮影してきた結婚式の写真を沢山紹介しているギャラリーです。

それぞれの家族にはそれぞれのストーリーがあります。結婚式の会場別に写真を紹介しているページです。

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