2023年9月10日

サンフランシスコ出身の二人が、パークハイアット東京で結婚式を挙げてみた

長かったコロナ禍が空け、海外からの渡航規制が緩和されてもうすぐ一年。

日本でも待ってましたとばかりにインバウンドの観光客が溢れかえる状態になっていますよね。
 

明治神宮や浅草寺、上高地なども日本語よりも外国の言葉のほうがよく聞く感じがするこの頃。

そんな皆さんに日本観光で求めている事をきいてみると、買い物だったり、有名な場所でただ見るよりも、日本でしか得られない体験や特別な時間を過ごす事したい、そんな事を話していました。
 

先日NHKの「所さん大変ですよ」という番組を見ると、高野山の禅寺に外国人が押し寄せていて、数日間に及ぶ、禅修行を行う富裕層が沢山いるって事が話題になっていました。
 

そんな「体験型」の日本訪問。

結婚式でも少しだけ、そんな流れが増えてきたみたいです。

今回ご紹介するのは、サンフランシスコ在住の新郎新婦のお二人が、パークハイアット東京で挙げた結婚式のお話。

今まで日本人の新婦さんとアメリカ人の新郎さんなど、国際結婚で、日本で結婚式を挙げるというケースは頻繁にありましたが、お二人とも日本以外の方の国内結婚式というのは、珍しいケースではありました。
 

ハワイやバリ島、まあ沖縄だったらあるかもしれないけど、東京でリゾートウェディングって、中々想像出来ないですよね。

そんな二人が日本で結婚式を挙げてみたいと思ったのは、20年前くらいに上映された「ロスト・イン・トランスレーション」という映画を見て。

東京を舞台に倦怠期のハリウッド・スターと、孤独な若いアメリカ人妻の淡い出会いと別れを描く映画です。

主役の二人が滞在していたのがオープンしたばかりのパークハイアット東京。そのホテルや、東京の雰囲気に魅了され、いつかはこのホテルに滞在、そして結婚式を挙げたいと思っていたそうです。
 

新郎さんに至っては、その映画をきっかけに日本が大好きになり、SONYに就職、日本に頻繁に来れるようにプレイステーション担当部署に入ったという気合いの入れ方!

お支度が終わった後のロケーションフォトで一番最初に訪れたのは、映画で一番美しく描かれていた憧れの場所、NYCバーです♪
 

そんな日本大好きなアメリカ人の二人。

世界各国から家族や友人達も呼びよせて、盛大に結婚式を挙げる事になりました。

さて、そんな海外出身の二人が日本で結婚式を挙げるとどんな感じになるんでしょう?
 

bozphoto & stylesでは実は、コロナ禍前にも、海外出身の二人が日本で結婚式を挙げる際の撮影を何度も手がけてきた経験があります。

日本には日本の結婚式の流れと、フォーマットという物がありますよね。

でも、アメリカやヨーロッパ出身の人達が結婚式で求めている形はけっこう違っていたりして、打ち合わせの際にけっこうなカルチャーギャップに悩まされたり、食い違いで揉めてしまうようです。

bozphoto & styles のメインフォトグラファー Tsutomu はアメリカにに過去9年間住んだ事があり、シリコンバレーやコロラド、ハワイなどでアメリカ人の結婚式の撮影も手がけてきました。なのでその経験を元に、私が日本人のプランナーさんと、新郎新婦さんの仲介役を私が引き受ける、そんな場面に何度が遭遇した事もあります。


 

今回のブログでは、海外からの方が日本(もしくは他のリゾート地などでも)で結婚式を挙げる際、どんな事を望んでいるか、そんなご紹介をさせていただきます。

※結婚式一日の写真については、また別のブログで紹介させていただきます♪

その1 集合写真はとっても大事。そして時間をかけます

海外出身の方が日本で結婚式を挙げる際、一番揉める事の一つが、家族での集合写真についてだと思います。 記念写真タイムはとっても重要。とにかく沢山のバリエーションで撮影します。

この日参列したご親族は20名ほどでしたが、絶対に沢山のリクエストがあるだろうから、事前にリストを作っておいてと頼んでみたら、案の定

・新郎新婦と新郎の家族

・新郎新婦と新郎の家族(子供無しバージョン)

・新郎新婦とフラワーガールとその親

・新郎新婦と新婦のおばさま

・新郎新婦と二人のお母様

などなど、24パターンのリストを頂きました。

もちろん、当日追加で3パターンほど増えたのはご愛敬w


 

担当プランナーさんは

「20名ほどですから、5ー10分あれば十分ですよね?」と事前打ち合わせの際にお話されていましたが、
 

「イヤイヤイヤ、少なくとも20分、余裕をもってもうちょっとあったほうが良いですよ」って伝えたら、キョトンって目をしていました。

実際、当日を迎えて、30分の撮影時間を設けていたので、助かったと仰っていました。

披露宴の際中に集合写真を撮るのは、まあままNG
 

日本の結婚式だと、披露宴の最終に「各卓フォト」や「テーブルフォト」という、新郎新婦が各ゲストのテーブルに訪問して記念写真を撮る場面がありますが、アメリカの新郎新婦さんはこれ、けっこう嫌がります。披露宴はあくまでも食事と会話をみんなで楽しむ時間なので、慌ただしくゲストの皆さんに立ったり座ったりしてもらうのは、けっこう失礼にあたると思われるそう。
 

もちろん、ゲストの皆さんが高砂に来て、新郎新婦と写真を撮って欲しい、という場面はありますが、それはあくまでもゲストが自らの意思で行くので、違うみたい。

あと、テーブルフォトだと食卓が邪魔して半身しか写らないし、集合写真に食べかけの食事がごちゃごちゃ写っているのもNGみたい。 まだ、食べる前の綺麗な食器だったら良いみたいだけど。

集合写真は綺麗な配置とポージングも大事!

アメリカのホームドラマとかで、冷蔵庫や、リビングルームの壁に家族の記念写真がびっしり飾っているの、ご覧になった事はありますでしょうか?

家族写真専用の壁などがあったりもするのですが、フレーム入りで飾る写真だからこそ、その写真はきっちり、かっこよく残したいと思う皆さん。 日本みたいにただ一列、二列に整列しただけのポーズは「ツマラナイ」「だったらプロに頼まなくてもよくね?」と思われちゃいます。

そんな期待をされているのは薄々感じておりましたので、プランナーさんには家族写真として絵になる場所を用意して頂き、ポージングの為にソファーも移動していただきました。勿論、ストロボもコレ専用に持ってきましたよ♪ 綺麗な光で撮るために。

新郎新婦の撮影タイムは挙式後に

最近は日本でも一般的になってきた「ファーストミート」

新郎新婦が別々の部屋で身支度をして、挙式前にウェディングドレス姿でその日初めて会うこと。
 

アメリカなどでは、結婚式セレモニーの前に花婿が花嫁の姿を見ると幸せになれない、というジンクスがあったため、チャペルに入場する際に初めて二人が会うというのが一般的でした。

そうなると、問題になるのは二人での撮影タイム。日本では結婚式が始まる前に会場内のレストランやホテル館内でのロケーションフォトタイムが設けられるのが一般的。 

でも、結婚式が始まるまで二人は出会う事が出来ないため、アメリカでは挙式が終わった後、最初の15分くらいが家族での記念写真タイム。その後ゲストの皆さんは先に披露宴会場に移動してもらい、そこからの30分が新郎新婦さんでの写真タイムとなります。

その間ゲストはどうなるかって? 

「みんなお酒を飲みながら、それぞれで楽しんでいるから問題無いよ」

って感じで基本放置プレー。

ゲストを待たせてはいけない、そんな考えはあまりないようです。

ただ、それで困るのは日本の会場スタッフさん。

30分もカクテルタイムにするのは、流石に間を持たせる事が出来ないって事や、

そもそもお二人が一番希望されていた、 NYバーはお昼過ぎから営業開始となり、午前中しか撮影が出来ないとなり、撮影タイムを挙式前に設ける事で二人も同意してくれました。

その代わり、お二人でのお披露目タイム、ファーストミートはお支度直後に行う事に。

アメリカでも挙式前に二人の時間を設けたいからって理由で、二人が初対面するのは必ずチャペルじゃないとダメという考え方は減ってきたようですが、やっぱりそれをしっかりと守っている方もまだまだ多いようです。


 
フォトグラファーが当日のメインのアートディレクター
 

結婚式の思い出は時が経つにつれて段々と薄れてくるけど、写真は永遠に残る。 そんな事を教えてくれたのは、10年前にコロラドで結婚式を撮影した新郎新婦さんが伝えてくれた言葉。
 

アメリカ人にとってフォトグラファーはただの記録係ではなく、よりよい写真を残す為にはどうしたら良いか、事前打ち合わせの際も、当日も、ガンガン意見を聞かれます。 必用な事があれば会場プランナーの進行を変更してもらったり、当日も引っ張っていって欲しい、そんな期待も持たれています。

それをいかんなく発揮させて頂いたのが、二人の教会式のキスシーン。

誓いのキス、むっちゃ軽くされてしまったんです。コンマ五秒くらいの、さらって感じ。

一応写真には収める事が出来たけど、なんなイマイチ。

そんな感じでこのワンシーンが写真に残るのはダメだなあと思い、

「ねえ、誓いのキス、早すぎじゃない? 大事な場面だから、もっとロマンチックにしたほうが良いよ。 みんな、もう一度だと思わない?」 と二人と、ゲストに声をかけてみました。

それに合わせて家族のみんなも「そうだそうだ」ってコールしてくれて、牧師さんも
 

「では、今回が本番の誓いのキスですよ」

言って頂きました♪


 

これ、日本人の結婚式でやったら多分、完全ブーイング。

何やってんの? って後で始末書出して出入り禁止になる感じでしょうけど、敢えてKYに行動してみました。

後で二人に聞いてみると

「あの時は緊張していつもの軽いキスにしちゃったけど、Tsutomu に声をかけてもらって、ちゃんとしたワンシーンになったから本当に感謝している」

と言って頂けました。

ゲストの皆さんの間でも盛り上がっていたみたい。


 


 

もう少しいくつかご紹介させていただきたい項目があったのですが、既にかなーり長い文章になってきたので、今回はここまでに。

また次回、続きをお話させていただくか、この日の一日の写真をご紹介させていただく記事を書かせていただきますね。

ではでは。
 


最後までブログを読んで頂いてありがとうございます。

bozphoto & styles は吉祥寺を拠点に全国各地へ出張している撮影している小さな写真事務所です。 ウェディングから始まり、お子さんが誕生して、ニューボーンフォトや家族での記念写真など、長いお付き合いをさせてさせていただいております。

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